インド・マンゴー論争

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多くの日本人にとって
インドでの食の大きなデメリットは豚肉・牛肉が食べにくいことだろう。
逆に大きなメリットはマンゴーが安く大量に食べられることかもしれない。

インドにおけるマンゴー

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実際にインドというか南アジアにおいてマンゴーは果物の王様と言われる。真夏の5月~6月がシーズンで安いもので1キロで60円くらいから購入できる。とんでもなく暑い時期の大きな慰めとなる。1000種を超す栽培品種があると言われ、1つ50gのものから1.5kgに及ぶものまで幅が広い。生で食べるだけでなく未熟なものは料理もピクルス(漬物)としても使われる。

インドだとかなり安く買えるが、日本で一度インド産のアルフォンソマンゴーをネットで注文したことがある。何とキロで9800円だった!まだ日本で買うと高額になってしまうようだ。繰り返すがインドではキロ60円のもあるのだ。種類も違うのだがその料金の幅の大きさがとてつもない。

果物の王様論争

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5年ほど前、デリーでお世話になっている人と「果物の王様」について議論をしたことがある。

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ご主人、奥様、奥様のお母さん、奥様の従弟の4人が皆マンゴーと答えた。
私は個人的にスイカが好きなのでスイカを推していた。
高齢な奥様のお母さんはその議論の様子を静かに眺めていた。
私達は楽しく、でも若干ヒートアップしながら議論していた。
以下それぞれの根拠を列挙する。

不動産関係の会社を経営する奥様の従弟:
「スイカだ~?マンゴーの甘さとおいしさを考えたら比べようがない。」

以前BBCで勤務経験のある現主婦の奥様:
「種類やサイズが豊富に揃っていること、料理の幅を考えてもマンゴーには勝てないわ。」

歴史学を大学で教えているご主人:
「インドをパキスタンを結んでいるものが3つある。インド映画、クリケット、そしてマンゴーだ。実際にカシミールの国境でインド兵士がパキスタン兵士にマンゴーを投げ送ったことがある。それは美談として両国に伝わっている。歴史を考えてもマンゴーはインドにとって特別だ。」

個人的な感覚や種類の豊富さ、歴史的にも大切な果物であることなどを根拠にマンゴーが王様な理由を教えてくれた。ここで私なりにスイカを王様に推す根拠を伝えた。

それは「スイカはまず基本果物の中で最も大きく、且つそのジューシーさも最高だ。大きくてジューシー、これ以上王様の根拠は要らない。」と訴えた。

すると、

おばあちゃまの一喝

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するとそれまで静観していた奥様のお母さんが、
「スイカが果物の王様だなんてしょうもないことを(笑)。
マンゴーが王様に決まっているだろう!」と一喝!
普段は温厚で穏やかなおばあちゃんに怒られてしまった。
この一言で議論は終結しなんとなしに別の話題に移っていった。

あれから、インドにもうしばらく身を置き考え直したことがある。
確かに王様はマンゴーなのかもしれない、と。
そもそもスイカは野菜だったか、などという理由ではない。

それはマンゴーをどれだけインドの人達の楽しみにしており、どれだけ生活に根付いているかを身に染みたことが何より大きい。それは議論の余地がない感覚、わかってきてしまった。マンゴー、あなどれない!

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