2014年ナマステ・インディアを振り返って

図1
あるグラビアアイドルがこの夏、デング熱にかかりそれで名前が売れただのというニュースをネットで見た。そのグラビアアイドルのファンではないのだが、デング熱というワードでつい詳細を見てしまった。つい数か月前まで、日本でのデング熱騒動を別の角度から見ていたからだった。

今年も例年通りサンタナグループでナマステ・インディアで出店した。(その様子は以下のアドレスで確認して頂きたい。http://d.hatena.ne.jp/indiasantana/20140922/1411375503)

ただ、今年はデング熱で騒がれており8月の終わり頃から開催自体が危ぶまれていたからだ。そもそも毎年9月頃に一時帰国することの大きな理由となっており、今回は併せてヨガのプログラムも考えていた。開催自体も危ないし近くの公園でのヨガなど持っての他、という状況だった。関西にいるメンバーは関東に行く必要がないのかもしれないと思い出す始末。

9月に入ってからのナマステ・インディア実行委員会のホームページに載っていたのはこんな文言。

ナマステ・インディア2014は予定どおり開催するつもりです。 (9月5日現在)
今後のデング熱の状況によって中止、あるいは延期等変更をする可能性があります。
様々な状況を考慮して、9月10日(水)に決定をしたいと考えています。

つまりどうなるか開催の10日前まで不明ということ。

ナマステ・インディア食品ブース
結局、開催することになり私達も胸を撫で下ろした。ただ、そのような状況で出店を取りやめた団体も多かった。特に仕込などが必要になる飲食ブースは深刻だった。例年、4,50出店している飲食ブースが全部で6ブースという状況。

インドに行ったことがあったりデング熱について調べたことがある人なら、致死性が高いような病気ではないことは知っている。しかしながらその名前の「デング熱」という響きであったり、今でもメディアを賑わせているエボラ出血熱と同時期に騒がれたことなどもあったりで、多くの人がとんでもないくらい危険視している状況だった。

そうした世相を反映してでしょう。実際に2014年代々木公園におけるイベントは中止や日程・場所の変更がほとんど。

2014年代々木公園のイベントスケジュール
ナマステ・インディアを挟んで、

9月6・7日 美味しいペルー → 12月に変更
9月10日 TRIGGER FES 2014 SUMMER → 会場変更
9月13・14日 ベトナムフェスティバル2014 → 中止
9月20・21日 ナマステ・インディア2014 → 普通に開催
9月24日 第6回アンデス村祭りコンサート → 10月に変更
9月27日 大江戸骨董市 → 中止
9月27・28日 スリランカ・フェスティバル2014 → 会場変更
(代々木公園HP:http://www.yoyogipark.info/ad2014/)

と、実にナマステ・インディアの前3つ、後4つのイベントが中止や変更している。そんな中ナマステ・インディアは開催を決定した。開催に至る話し合いは想像するに大変なものだったろう。

ナマステ・インディアメディア
メディアも注目してニュースにも流れていた。ふたを開けてみれば天気も良く大盛況といって良い人だかり。知っている限り、ナマステ・インディアに来てデング熱に発病した人もいないよう。これにて一件落着、でもいいのだが、私はその後にナマステ・インディア実行委員会のホームページの声明を見てちょっとびっくりした。

「賛否様々な考えがある中で、私どもは開催を決断いたしました。国や都のデング熱に対する防衛、安全対策が進展したことも大きな理由でした。また、アジアに大きく経済をシフトしている日本にとって,人的交流の増加や温暖化を考えると、今回のようなことは今後もあり得ることと予想されます。

私どもの日本社会が他のアジアの国と比べて清潔でスマートな現代社会になりつつある反面、一人一人の精神的な強さ、逞しさ、というものは弱くなっているように思えます。例えば大きな犬が道に出てきたとします。それぞれの国々の子供たちの反応があることを想像してください。昔の日本の子供たちなら石や棒を持って追い払う子供がいました。今、石や棒は都会や田舎でもアスファルトの道では見つけにくいです。と同時に経験のない子供はどのような行動を起こすでしょうか。アジアや発展途上国に経済の比重を大きく増やしていく日本にとって、どのようなことにも対応できるような強い人であるということ、またそのような文化を創っていく必要があると思います。」
(ナマステ・インディア:http://www.indofestival.com/)

ナマステ・インディア2014年ポスター
(2014年ナマステ・インディアのポスター)

デング熱もただ逃げるのではなく対応できるよう強くなる必要がある、と唄っている。確かにデング熱を媒介する蚊が出たからといって多くのイベントをただちに中止・延期などににする必要があるのかは議論の余地はある。ただイベントの主催側はあそこまでメディアで騒がれていた状況でイベントを開催することには抵抗もあったろう。

それを推しての開催決定。強い!強い!イベント開催も強いがそれに至った考え方、またそれを公式に伝えること。全てにおいて強い。日本とインドを行き来する立場としてこうしたインドの強さを感じざるを得ない。大きなリスクを冒しての開催だった。しかも何もなくて普通という状況でのリスク。何かあれば批判されただろう。

冒頭のグラビアアイドルは当時、売名行為ということを否定していたが今となってはデング熱騒動のお蔭で覚えてもらえたと正直に語っているとのこと。ただ今回のデング熱騒動でわかったのはインドの勢いの強さ、という気がしてならない。