許す国インドの凄い許し方
日本とインドの子育ての違い
日本の親は「人に迷惑かけちゃダメですよ」と教える。
インドでは「お前は人に迷惑かけて生きているのだから、人のことも許してあげなさい」と教える。
ネット上にあった言葉だ。
気になって情報源を調べてみたが現段階ではよくわかっていない。
実際にそのような子育てをしているだろうと思うことはよくある。
許すor許さない? 怒るor怒らない?
時間に遅れるインド人は多いが、逆にこちらが遅れても許される。
インドでは電車すらよく遅れるがそのせいかもしれない。
しかも遅れ方も中々豪気だ。
1,2時間遅れることは遅れるうちに入らない。
10時間以上遅れることもある。
15年程前に筆者は24時間の遅れを経験したことすらある。
一方、日本では誰かが何か間違いを起こしてもめったに感情的に怒らない人が多い。
ただ静かに二度目がないだけだろう。
日本では許されないなぁ、大分違うなぁ、と思うこともしばしば。
裏切り、というか犯罪レベルの事件
そういった背景が違う上でだが、驚くほどの許しを見たことがある。
滞在していたゲストハウスの従業員が3か月分の給料を前借してとんずらしたのだ。
親に泣きつかれ0から全てを教えた従業員だったという。
いきなりやめるだけでも問題だが、文字通り給料泥棒だ。
警察沙汰になってもおかしくないだろう。
それから3年後彼がひょっこり帰ってきたのだ。
想像していたのは、泣いて詫びを入れるのか、お金を返しに来たのか、はたまた両方か。
自室にいた私はオーナーの怒鳴り声でレセプションに急いだ。
殴らんばかりにオーナーは現地語で怒鳴っている。
普段は楽しげなインド人がこちらまで怖くなるほど怒っている。
怒髪天を突く、という表現があるが実際に怒りの髪の毛が天に向かうかのようだ。
怒っている合間を縫って事情を聞いた。
するとその元従業員、詫びるでもお金を返すでもなかった。
「また働かせてくれっていってるんだよ!」
そりゃ確かに怒る。手が出てしまっても、いや警察呼ばれてもおかしくない。
訴えられることや変な報復の可能性ありうるだろうからと私は、
「手はださない方が良いぜ。」
とだけ伝えて自分の部屋に戻った。
しばらくはオーナーの怒鳴り声が聞こえていたが、そのうち静かになった。
レセプションに足を運んだら元従業員はいなくなっていた。
警察呼んだか、叩きだしたかなと思い不機嫌そうに新聞を読むオーナーに事の顛末を聞いてみた。
それでも許す
私 「あの元従業員どうなった?」
オーナー 「(とても不機嫌そうに)え、奥にいるよ。)
私 「えっ!どういうこと?」
オーナー 「しょうがないじゃない!働きたいって言ってるからさ。」
彼は職場に復帰した。
どうやらそこのゲストハウスを嫌になって一度出て行った。
しかし他のホテルで働いてみて元の職場がどれだけ恵まれていたかに気付いたという。
前借した分はこれから給料から減らしていくということだった。
そのオーナーが個人的に優しいこともあるだろうが「許す」ことを大切にする背景もあるのだろう。
その時は、あそこまで怒ってから許すなんてあるのかと考えていた。
だが今では怒って感情を外に出すからこそ許すこともできるのかもしれないと思っている。
しかしあの時のオーナーは怖かったなぁ。